ヨーロッパ企画『苦悩のピラミッダー』

4/8のマチネを観てきました。ヨーロッパ企画は3回目の観劇。
紀元前2200年前のエジプトでピラミッドを建てるお話。とはいえエジプトでピラミッドが作られていたのはそれよりも300年くらい昔のことなわけで、彼らにとっても「失われた技術の復元」という大事業。なはずなんだけど、なぜか凄まじくいい加減なプロジェクトチーム。財政は逼迫してるし、王と王妃は相当不仲らしい。だいたい、王はいきなり新聞記者を殴ったりするらしく、ピラミッドを作れるようなカリスマはないみたい。そういう「目の前で起きてる事実の俗っぽさ」と「成し遂げようとしている事業の壮大さ」のギャップが面白い。ま、結局、ピラミッドは完成式の最中に崩れてしまうわけだけど。
楽しい2時間を過ごすことはできたんだけど、なんだか妙な物足りなさを感じてしまったのもまた事実。確かに学生がこのレベルの完成度を見せてくれたとしたら、かなりの勢いで讃えたと思うんですよ。実際、7年前の作品の再演ですから、それで別に構わないという意見もあるだろうけど。でもヨーロッパ企画って、もっと緻密な舞台を観せてくれる劇団じゃないかしらー、と。ちょーっとだけもったいないかなーっとおもったり。過去に演じた作品を、今演じたらどれだけやれるのかっていうことに興味を覚える心情は、かつて舞台に立っていた者としてすごーくよくわかる。ただ、それを踏まえた上で、いっそ同じ筋のストーリーを一から書き直してみるってのもアリだったかもですよ。あくまで一つの提案として。この後に続く2作品も同じく7年前の再演ということで、楽しみでもあり不安でもあり。
ところで、劇中で召使がビールを造る場面が2回あって、本筋には全然関係ないんだけど妙に印象に残った。この芝居を観たあと、キリンビールの古代エジプトビール復元の企画を読むとちょっと知的好奇心が満たされるかも。